勝負に強い人は何が違うのか。総合格闘家の青木真也氏は「試合は怖い。だからこそ勝つことは気持ちがいい。試合の怖さや苦しさから逃げてしまうと、勝つことからも逃げることになってしまう」という――。
※本稿は、青木真也『距離思考』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
良い意味での「諦めの悪さ」
人は勝負に強い人と弱い人に分かれる。
勝負に弱い人はわかりやすくて、人前で恥をかくのを嫌がるものだ。開き直れないという特徴もある。
格闘技における勝負弱い選手となると、もうひとつ大きな要素がある。そういうヤツらは「勝負師」の顔を持っていない。あくまで自分はいちアスリートであり、いち格闘技選手だと自身のことを考えている。
一方、勝負に強い人はとことん勝負師的思考を貫いている。自分が勝負師として生きていることを強く意識しているのだ。
勝つためには、目の前の戦いを楽しみながら、諦めず、しつこく、粘り強く向き合う。勝負強い格闘技選手を見ていると、良い意味で「諦めが悪い」ことが伝わってくる。
勝負というのは、たとえ劣勢に追い込まれても、本人が諦めるまでは負けじゃない。たとえ勝つ可能性が1%しかないとしても、それをどう受け止めているか。
「100回に1回は勝つということ。その1回勝てばいい」
そんなマインドセットができる人間は、たとえ一度きりの本番でも強さを発揮できる。
逆に「100回に1回しか勝てないのか。だとしたら、次の勝負で勝つのは無理に等しいんじゃないか」と考えてしまうようでは、絶対に勝てない。勝負師の頭には「負ける自分」の姿はない。