会社の肩書きで話す人は今の時代に合わない

その逆のパターンとして、こんな話がある。

ある新聞社の取材を受けたときだ。

取材を受ける間、僕の中には、ずっと違和感があった。

「オレは偉いんだ」という雰囲気が、記者の言葉の端々に表れていたのだ。

「大手新聞社という大メディアが認めている自分」みたいな気持ちが、言葉や態度に出てしまっていた。

こういう人は、第三者的なポジションをとることはできない。

外側から自分を見る視点がなくなってしまっていて、会社の肩書きをなくした時点で、仕事がなくなってしまうような人だ。

一方で会社の立場を抜きにして話ができるような人は、コミュニケーションコストが払える人だ。これからの時代に合っているのは、こちらのタイプだろう。

もちろん、自分に能力がないことを自覚していれば、大きな企業の傘の下で生きていったほうが賢い。その生き方を否定するわけではない。

ただ、その場合は、失業やリストラのリスクに備える必要があるので注意すべきだ。

打ち合わせは「とにかく意見を出す」

「アメリカ人は自己主張をし、日本人は空気を読む」

そんな話をよく聞くが、実際に留学したり海外旅行をしたりしても、そのとおりだと感じることが多い。

なぜ、そうなるのだろうか。

人と人との距離に理由があるかもしれない。

日本では、電車やバスの公共交通機関での移動が多かったりするし、飲食店のスペースも狭いし、集合住宅も多い。物理的に人と人との距離が縮まれば、おのずと相手のことを考えざるを得ない。

ここでも、考え方を変えるよりは、環境などの場所を変えることをしたほうがいい。

あえて他の人と接触しない生活を送るのが効果的かもしれない。自転車で移動したり、歩いたりする時間を増やす。

あるいは、家族や職場から離れて1人になれる時間を増やす。

そうやって意図的にやらないと、自分の意見を作れない。

さて、仕事の基本は、打ち合わせだ。

人と会って話をする。それが仕事のベースにあることだろう。

そこで大事なことは、シンプルだが、「とにかく意見を出す」ということだ。

みんな空気を読むことが得意なので、意見を言うことは苦手だ。そこを逆手にとって、僕は積極的にやるようにしている。

間違っていてもかまわない。量的にたくさんの発言をすることを心がける。

意見を出すことのメリットは、「実作業が自分に投げられることがない」ということだ。

何も発言していない人は、心理的に「じゃあ、私がやります」と言って手を挙げてくれる。こんなにおいしいことはない。

「いつだって、発信者は強い」

というのは、覚えておくといいかもしれない。