実習の多い学部は「このままだと卒業論文が書けない」
とはいえ、このままずっとオンライン授業でいいとは思っていない。
まず、先生によってオンラインへの慣れや工夫に差があると感じる。
私の履修している授業はすべて「パワーポイント+音声解説」というスタイルがとられているため、比較的いつもの授業に近い。しかし、私の友人の話では、音声による解説がなく、学内システムに簡素なレジュメが掲載されるだけという授業もあるという。
ある先生は「普段なら学生の様子を見て雑談を挟むが、オンデマンドだとそれが難しい」と話していた。オンデマンドであっても、適度に雑談を挟んでくれる先生もいる。ちょっとした裏話や授業に関連した映画の紹介などを途中にしてくれると、最後まで飽きずに聞くことができる。
一方で、雑談を一切挟まずひたすら難しい内容を話す先生もいる。90分間(倍速であれば45分間)先生の顔も見えない中で専門用語や年号を聞き続けるのはなかなか大変だ。
さらに、全ての授業がオンラインに適しているわけではない。実習の多い学部に通う友人は「このままだと卒業論文が書けない」と言っていた。春学期の途中から一部の学部は制限付きで登校していたようだが、ずっとオンライン授業のままであれば教育の機会が大きく損なわれただろう。
勉強に集中できるほうが「大学生らしい」のか
個人的には、学生生活最後の年は学校に通いたいと思っている。周りの友人からも、「オンライン授業は楽だけど、やっぱり学校に行って友達と授業を受けたいよね」という声をよく聞く。
この半年間で、オンライン授業には思いがけないメリットがあることに気付かされた。一方で、やはり秋学期からは学校に通いたいというのが本音である。
大学生の本分は勉強であるとするならば、黙々とパソコンに向かって勉強をしている今の状況は「大学生らしい」とも言えるかもしれない。しかし、それが本当の「大学生らしさ」なのだろうか。大学に行けないという異例の状況の中で、大学で学ぶことの意味は何なのだろう、とぼんやりと考えてしまった。