職場や保育所など「夜の街」以外での感染例も目立つ
読売社説は「旅行者の住所確認など課題は多く、混乱も予想される。事業の恩恵を受けられない都内の観光事業者の落胆は大きい。事業を見込んで予約を済ませていた人もいる。政府は、分かりやすい制度設計と説明を急がねばならない」とも主張する。
だが、いまの安倍政権には「分かりやすい制度設計」など無理かもしれない。私たち国民ひとり一人がそんな政権の実態を見極める必要がある。
「いま一番大切なのは、感染をこれ以上、広げないことである。特に、東京は陽性率が高まっており、職場や保育所など『夜の街』以外での感染例も目立っている」
「感染をこれ以上、広げない」ことが重要なことは当然だ。
読売社説は「東京の感染者数が急増したことを受けて、菅官房長官が『東京問題』と発言し、小池百合子都知事が反発する場面があった」と書き、最後にこう訴える。
「感染拡大の危機を乗り切るためには、国と自治体の緊密な連携が重要だ。そのことを、いま一度、肝に銘じてもらいたい」
「国と自治体の緊密な連携」が大切なことも、当たり前のことである。しかし、世界では自国第一主義を標榜する国家が目立ち、感染症対策の基本となる「連帯」つまり「国際協調」が失われつつある。
安倍政権は予想される混乱にどこまで対処できるのか
「旅行を通じて地方に感染を拡大させないため、全国一律の運用を見直した政府の判断は当然といえる」
「ただし感染者の増加傾向は東京以外の首都圏や大阪などでもみられている。こうした感染者の動向を見極め、今後も補助対象のあり方を機動的、恒常的に見直すなどの柔軟な対応が求められる」
こう訴えるのは、7月18日付の産経新聞の社説(主張)だ。見出しも「GoToトラベル 機動的な見直しが必要だ」である。
産経社説は指摘する。
「全国知事会は近隣県からの誘客から事業を始めるなど、段階的な実施を求めている。すでにほとんどの道府県が利用者を県内や周辺に限定した独自の旅行割引制度を導入している。こうした自治体に対しても国が財政支援する仕組みも検討すべきだ」
産経社説が指摘するような「段階的な実施」や「独自の旅行割引制度を導入する自治体支援のシステム」も欠かせない。
さらに産経社説は指摘する。
「事業は開始時期も対象も方針が転換され、混乱を招いた。すでに東京から地方への旅行を予約した人も多い。今後も状況の変化によって変更はあり得る。予約キャンセルの補償やあり方などを検討し、政府は混乱の回避に全力を挙げねばならない」
安倍政権は予想される混乱をどこまで避けることができるのか。私たちはしっかりと見ていく必要がある。国民の厳しい監視があってはじめて政権が国民のために機能するからである。