王者ナイキの3万3000円、ミズノとアシックスはそれより1万円安い
王者・ナイキも7月2日からニューカラーを販売。大迫傑が東京マラソンで2時間5分29秒の日本記録を打ち立てた「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」は、税込3万3000円ながら公式オンラインショップでは10分弱で完売する“争奪戦”になった。
ナイキの関係者は、コロナの影響でレースが中止や延期に追い込まれているなかでどれぐらい需要があるのか心配していたというが、厚底人気は少しも衰えていない。
ナイキ厚底シューズの壁は国内メーカーにとってとてつもなく高いと考えていいだろう。ただし、ミズノとアシックスの新シューズがナイキに迫るほどの“結果”を残すことができれば、ナイキ一強の流れを変えることができるかもしれない。
トップモデルを比較すると、ミズノとアシックスはナイキと比べて1万円ほどリーズナブルだからだ。
結果がすべてのトップ選手は価格に関係なく、少しでもいいものを選ぶ。しかし、市民ランナーは1万円近い価格差で、同程度のパフォーマンスが期待できるなら、ミズノやアシックスのシューズを選ぶという人は少なくないだろう。
「厚底」競争は終了し、新たな発想で開発される
また1月末にワールドアスレチックス(世界陸連)からシューズに関するルール改定が発表され、4月30日から適用されている。靴底の厚さは40mmまでとなった。「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」の靴底は39.5mmで、ナイキはこれ以上ソールを厚くすることはできない。今後は新たな発想で、新シューズが開発されていくことになる。
そしてミズノやアシックスがナイキを越えるには、大迫傑を上回るような“ネクストスター”の存在が欠かせない。日本記録を塗り替えて、パリ五輪、ロス五輪でヒーローになれるようなランナーとの契約が必要になるだろう。
ちなみに大迫はナイキと契約する前はミズノを履いていた。モノづくりだけでなく、ブランドイメージを高める戦略を考えていかなければ、国内メーカーの“金メダル”はない。