都知事の次は「日本初の女性首相」を狙っているのだろうか

次に7月2日付の毎日新聞の社説を読んでみよう。

「こうした中で、東京都は東京アラートを廃し、新たなモニタリング指標を示した。東京消防庁の救急相談センターへの発熱相談件数や、救急患者の受け入れ先確定までの時間という新たな指標も加え、専門家の分析を得て対策を検討するという」
「状況を総合的に判断するのは当然だ。だが、外出制限や営業自粛の基準がなく、わかりにくいことは否めない。なぜこのように変更したのか、納得のいく説明も足りていない。」

感染者数の増加で都庁やレインボーブリッジを赤いライトで染めて都民に警戒を呼びかける東京アラートは、分かりやすい。だが、感染症対策は感染者数だけではない。検査体制や医療体制、重症患者の人数などを総合的に踏まえて判断していく必要がある。その点において小池都知事の説明は不足していて、批判を受けても仕方がない。

毎日社説は書く。

「東京都知事選のさなかにあって、指標の変更に政治的な狙いがあってはならない。東京アラートが警戒のメッセージだったとすると、アラートが出ないことが安心材料と誤解される恐れもある」
「大事なことは、都民が日々の感染や医療の状況を知り、行動に注意を払えるようにすることだ」

確かに「政治的な狙い」があるのかもしれない。都知事の次は、日本初の女性首相を狙っているのだろうか。都知事選がその踏み台だとすれば、とんでもない話だ。都民のための都知事選であることをよくかみしめてほしい。

人々の移動を容認する以上、感染者の増加は予測されたこと

「緊急事態宣言でいったん流行は落ち着いたが、ウイルスが消えたわけではない。経済活動を再開し、人々の移動を容認する以上、感染者の増加は予測されたことだ」
「しかし、手をこまねいていれば入院患者が増えて医療が圧迫される。急激な感染拡大が起きれば医療崩壊につながりかねない」

感染防止対策と経済・社会活動の両立。相反するところがあるだけに、柔軟な思考とバランス感覚が要求される。その点について毎日社説は主張する。

「まず、次の流行の兆候を迅速につかみ、感染の急拡大を抑え込むことが肝要だ。それでも拡大が避けられない場合に備え、医療や検査の体制拡充を今のうちに徹底しておかねばならない」
「さらに考えておくべきなのは、再流行の兆候が見られた時の対応だ。再び緊急事態宣言で幅広い外出制限や営業自粛を求めるのか。地域や業種によるメリハリをつけるのか」

政府が感染症の専門家に委ねるべきポイントは以下の3つだろう。

①流行の兆しを的確に把握する
②急な感染拡大を抑え込む
③医療と検査の体制の整備

そして、専門家の意見を踏まえたうえで、どこまで制限を求めるのかは政府自らが決める必要がある。毎日社説が最後に主張するように「東京都と国は連携して早急に検討し、国民の理解を得なくてはならない」のである。

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