200万~300万円のツケを背負ってビルから飛び降りる女の子

女の子たちの自殺の原因は、ホストとのトラブル。お金の問題がほとんどのようだ。ホストクラブは女性客が高額なお金を落とすようにシステムができている。ホストに恋愛をする客は大金を注ぎ込んでライバルと競い合う。ホストはお金を使う客から優しくして大切にするので、女の子たちはどんどんと高額ボトルをいれてお金を落としていく。後払いである“ツケ”の制度もある。ツケが払えなくなった女の子はホストから激しい取り立てをされ、破綻していくという流れだ。

中村淳彦『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書)

「ホストクラブの売り上げは、店と折半という制度。たとえば100万円売り上げたら、店に50万円は納めないといけないんです。ツケで売り上げを立てて女の子が払えなかったら、ホストは自腹で店にお金をいれなければならないの。ツケが飛んで逃げるホストもいるけど、ホストは横のつながりがあるので、もうホスト界には戻れない。だから回収は激しくなっちゃいます」

自殺する女の子たちのツケは、おおよそ200万円、300万円という金額だという。ホストは職場や実家にまで回収に行くのでトラブルになり、追いつめられ、一部の女の子は飛び降り自殺してしまう。若い女の子がアスファルトに叩きつけられて命を落とすのは、あまりにも無残だが、ここではそんな悲劇が日常として起こっている。

地方への出稼ぎはメリットが多い

23時。鈴木さんは目をキラキラさせてLINEを見る。いまハマっているホストが出勤したようだ。最後に「歌舞伎町で知り合ったホス狂いの友達とつなぎましょうか?」と言う。頷くと、わずかなLINEのやりとりで、あっという間に筆者を含むグループLINEができあがった。

ホス狂いの現役風俗嬢・舞ちゃん(仮名・23歳)とLINE電話でつながった。電話で舞ちゃんに挨拶していると、鈴木さんは手を振りながら早足でホストクラブへ行ってしまった。

「いま徳島県にいます。コロナ以降は、地方もお客さんは全然いないです。2週間前からずっとこの待機室に住んでいるみたいな感じで、なにもすることがなかった。だから、誰かと話せてうれしいです」

専業デリヘル嬢の舞ちゃんは徳島県で“出稼ぎ中”だった。(続く)

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