新容器でラーメンの持ち帰りが可能になった
それは以前から「持ち帰り」と「宅配」を強化していたからだ。昨年4月に持ち帰り用の冷やし中華を発売。また、持ち帰り用の生餃子のセールを積極的に実施したり、昨年8月からは持ち帰り用の餃子のタレをリニューアルして販売したりしている。今年3月には、電子レンジでご飯とおかずを一度に温められる新しい容器を使った持ち帰り用の「レンチンシリーズ」を発売した。これにより新たにラーメンの持ち帰りが可能になった。
また、今春は全国的に学校の休校が広がったことを受けて、食事支援を打ち出し、3月から5月末まで持ち帰り用の「お子様弁当」を販売した。スマートフォンで持ち帰り用の商品を注文・事前決済できるシステム「EPARK」の導入も進めてきた。王将では現在、全国全店舗の7割にあたる約530店が同システムに対応している。
宅配に対応した店舗も増やした。宅配は2017年に出前館に対応する形でテスト導入しており、さらにUberEatsにも対応。5月25日時点で約200店で実施している。
持ち帰りの売上構成比はもともと上昇していた
こうした施策が功を奏し、すでに20年3月期から持ち帰りの売上構成比が高まっていた。上期(19年4〜9月)は16.6%だったが、下期(19年10月〜20年3月)は19.3%になった。そして4月の持ち帰り売上高は前年同月比1.9倍で、売上構成比に占める割合は4割に拡大。さらに5月は、持ち帰り売上高が前年同月比で2.2倍に急増している。
立地の影響も大きい。王将は全国の駅前や繁華街のほか、郊外ロードサイドにも多く出店している。新型コロナでは外出を自粛する人が増え、街から人が消えたわけだが、その影響は地方よりは都市部、郊外ロードサイドよりも駅前や繁華街に大きかった。後者に集中的に出店している外食店は厳しいが、王将はどちらかといえば全方位的に出店している。それゆえ、この面で大打撃を被ることはなかった。