苦境の外食。マクドナルドは好調

外食産業は一番、最初に打撃を受け、これからも、withコロナの世界を意識させられる営業を迫られる業態です。そんな中で、日本マクドナルドHDはコロナ以前の水準よりも株価は上昇し、吉野家ホールディングスは株価がV字回復しています。その他、ゼンショーHD、松屋フーズ、ケンタッキー、モスバーガーは、コロナによる売り上げへの影響はプラスで推移しています。一方、スシロー、くら寿司、ワタミ、鳥貴族はマイナスの影響を受けています。

マクドナルドは5月12日に発表した決算発表では、売上高が前年同期比5%増の722億円。2020年12月期の業績予想は、売上高で前期比2%増を見込むことも維持しています。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて店内飲食は中止していたものの、ドライブスルーなど持ち帰り需要が大きく伸びています。7日に発表した4月の既存店売上高も前年同月比6.5%増と堅調です。吉野家HDもテイクアウトを強化し、4月時点でテイクアウトの販売数の割合が6割を超えるまでに、なっています。2020年2月期の決算発表では、経常利益が前期比9.7倍の33億6000万円に急拡大し、7期連続増収となっています。

絶好調の半導体、自動車は注意

半導体は、目先のコロナの影響とは別として、5Gやテレワークなどの複数の成長要因を持っています。高性能絶縁素材を得意とするトリケミカル研究所、半導体やFPD製造用運搬装置のローツェ、シリコンウエハの信越化学工業、SUMCOなどは底堅い。半導体用マスク基盤のHOYAは3期連続最高益。半導体の製造工程で必要な欠陥検査装置を手掛けるレーザーテックは会社側では通期の受注計画を従来の700億円から850億円に上方修正、と半導体業界は全般的に絶好調です。

自動車業界は、「フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議」の試算によると、コロナの影響が21年3月まで続いたと仮定した場合、トヨタは、営業赤字10兆円もあり得る予想となる厳しい状況です。トヨタの会社側の予想では、80%減益の5000億円の黒字見通しであることから、アナリスト予想の乖離かいりについては、引き続き動向を追う必要があります。

ただ、日産、ホンダは今期の見通しを非開示であるなかで、トヨタは見通しを出していること自体を評価されています。4月の中国新車販売台数が前年同月比で4.4%増加したことや、米国でも新車販売台数は今後回復すると期待されています。リーマンショック時のような、円高に見舞われていない点も、自動車業界には不幸中の幸いでしょう。ただ、今度、円高になるような局面に入ると自動車業界はさらに、状況が厳しくなります。

ソニーはゲーム半導体、音楽などのコア事業の収益性が高いことが強みです。年末に発売予定の「プレイステーション(PS)5」の投入により、中長期的な収益拡大が期待できます。ソニーと比べて、出遅れが目立つのがパナソニック。赤字事業の整理を進めており、収益力は回復傾向ではあるものの、ソニーに比べてグローバルで優位に立つ事業が少ないです。