そう考えると、昔の大家族は合理的だったと思います。おじいちゃん、おばあちゃんはお金を持っていないけれど、世話になったから子どもたちで面倒を見る。子どもたちも年をとったら、自分の子どもたちに面倒を見てもらう。それを繰り返していれば、つまり、全体としてお金が回るならば、じつは個人の貯金なんて少なくても大丈夫なのです。

つながりのある社会を取り戻す

前野隆司『年収が増えるほど、幸せになれますか? お金と幸せの話』(河出書房新社)

こうした助け合いが失われてしまったのは、都市化と工業化のせいでしょう。みんな都会に出ていって、隣に誰が住んでいるのかわからないマンションに住み、会社や工場で歯車のように働く。それが当たり前になってしまった。「人の世話にはなりたくない」と孤独なままお金を貯め込む不幸な都会人が増えてしまった。

そんな孤独化社会は、経済や人口が拡大している時代には、効率的なシステムだったのかもしれません。しかし、高度経済成長はとっくに終わって、今や縮小へと転じているのですから、元の社会に戻すべきなのです。いや、元には戻れませんね。

現代的なインターネットや人工知能の力も利用しながら、人と人とのつながりと助け合いを取り戻すべきなのです。つながりのある社会を取り戻すこと。そうしなければ、私たちは幸せになれません。

関連記事
10万円をゲットしたら買い換えるべき「お得な家電トップ5」
「年収900万円なのに貯金が増えない」高齢出産妻が夫の金遣いを調べた結果
世帯年収1500万"頑張る自分にご褒美"で大崩壊
6000万タワマン族"ほぼ赤字家計"の末路
ローマ教皇が「ゾンビの国・日本」に送った言葉