精神論で取り組み、問題の本質を追求しない日本人
また、日本人の感染者数、死者数が少ない理由に、「中国人観光客が毒性の弱いS型を持ち込み、毒性の強いL型と拮抗したことが原因か?」とする専門家もいます。確かに昨年まで日本にやってくる中国人観光客は非常に多く、過去12年で10倍に増えて959万人という驚異的な数となっています。しかし、アジア太平洋地域で中国人観光客が少ないのにもかかわらず、日本より被害が少ない地域はどう説明したらよいのでしょうか?
何事も精神論で取り組み、問題の本質を追求しなくなるのは日本人の悪い癖でしょう。第2次世界大戦においては、日本は米国に玉砕しました。B29から雨のように爆弾を降らせる相手に、「竹槍で爆撃機は落とせない」と言えない空気の中で戦争は進行し、原爆が投下されるまで「欲しがりません勝つまでは」の精神で挑んでいます。もはや、この時の玉砕精神で挑む相手と時代ではないのです。
「日本は神の国だ」と思考停止した残念な人々
現時点では、わが国は深刻な医療崩壊も多数の死者も出てはいません。しかし、第2波・第3波の可能性もあり、このウイルスはすぐには終わりません。今回感染拡大を抑えても、その次に備える必要があります。そのためにも、「日本は神の国だ」と思考停止するのではなく、「なぜ、アジア太平洋地域で感染者数が欧米に比べて少ないのか?」と冷静に事実ベースで取り組む必要があるのです。ウイルスには和解が通用しません。抽象的、精神論で対応できる相手ではないように思えます。
それでは真実とはどこにあるのでしょうか?
その答えは「データ」です。厄介なことにこのウイルスはPCR検査を経ても偽陰性・偽陽性が出てしまい、また潜伏期間もインフルエンザウイルスなどに比べて長いために、感染者を正確に把握することも難しい状況にあります。しかし、「正確なデータが把握しづらい」という厄介な事実さえも、データによって導き出された「解」なのです。それ故に「どうすればこのウイルスの感染拡大を防ぎ、経済を立て直すのか」ということを今後もデータベースで答えを模索していく必要があるのです。