椙山女学園には曽祖母から4代続けて通う学生も

松坂屋名古屋店の婦人服担当、城戸憲吾さんは「SSKの学生らが名古屋嬢ファッションの先頭を走っていた」。服装の独自色は薄まりつつあるが、ブランドバッグは今も学生に人気だという。

3校とも女子校としての歴史が長く、椙山女学園には曽祖母から4代続けて通う学生もいる。「お嬢様の学校」とのイメージを抱かれがちだが、金城学院の広報担当者は「学生はすごく真面目に勉強している」と強調。椙山女学園の広報担当者は「カフェで優雅にランチではなく、学食で本を読みながら定食を食べる学生が目立つ」と語る。

椙山女学園を受験した女子高校生(18)は「女性のキャリア教育がしっかりしていると思った」。愛知淑徳や金城学院も就職サポートに力を入れ、金融や航空などさまざまな業界に卒業生が進む。OGには著名人も多く、故前畑秀子さんは椙山のプールで練習を重ね、84年前のベルリン五輪の200メートル平泳ぎで日本人女性初の金メダルを獲得。引退後は母校で後進の指導にあたった。

高卒後に地元へ進学する率は全国最多

16年度の文部科学省調査によると、高卒後に自県の大学や短大、専門学校に進学した割合は愛知が全国最多の71%。地元志向の背景について、名古屋に本校がある「河合塾」教育情報部の岩瀬香織チーフは「実家から通えるエリアに多数の大学があり、有力企業が多いため就職の不安が少ない」と説明。遠方の国公立大に合格しても愛知の私大に進む受験生が多いという。

とりわけ、「愛愛名中」(愛知大学、愛知学院大学、名城大学、中京大学)の中堅4私大が果たしている役割は大きい。県内で最も学生が多い名城大は19年春の卒業生のうち、65.3%が愛知、岐阜、三重の3県の企業や団体に進んだ。ほかの3大学も6~7割が中部で就職している。地元の公務員を志す学生も多く、中京大は県庁に29人、県警に56人が合格した。

また、愛知大が12年に名古屋駅近くに新キャンパスを設けるなど校舎の都市部への移転が進み、岐阜や三重からも学生を集めやすくなっている。

近年は定員厳格化の影響で首都圏の中堅私大の合格ラインが急上昇している。このため中部圏で抜群のネームバリューと就職実績を誇る愛知の私大は相対的にメリットが大きくなっているとされる。

その筆頭格が南山大学だ。1932年、ドイツ人宣教師が旧南山中学校を設立。カトリック系のミッションスクールで、キリスト教学科には司祭の養成課程もある。