「子供の学ぶ機会が奪われてはならない」らしいが…
「子供の学ぶ機会が奪われることがあってはならない」。5月11日、安倍総理は衆院予算委員会の集中審議で、速やかに学生への支援を検討する考えを表明した。政府は経済的に困窮した学生に1人あたり最大20万円を給付する方針で、新型コロナウイルスの影響でアルバイト収入が激減した大学生や短大生、専門学校生らを支えることにしている。立憲民主党や国民民主党、共産党などの野党も学生の授業料半額免除などを盛り込んだ「コロナ困窮学生等支援法案」を国会に共同で提出するなど、政界は大学生らへのサポートには熱心だ。しかし、未曾有の危機に困っているのは大学生ばかりではない。
安倍総理が唐突に打ち出した全国一斉の臨時休校要請で、全国のほとんどの学校は3月初旬から「閉鎖」している。準備を重ねてきた卒業式は急遽中止になり、桜の季節に新しい門出を祝うはずだった入園・入学式も見送られ、幼稚園や小中高校での「学ぶ機会」は失われ続けている。
生活は苦しいが授業料は口座から引き落とされる
文部科学省によると、5月11日時点で臨時休校している全国の小中高校は国公私立校の9割近くに上る。一部の地域では学校を再開しているものの、40都道府県では休校が継続し、幼稚園でも7割超が臨時休園になっている。学校では、課題を送付して家庭学習を促したり、学級通信をメールで共有したりする試みが見られるが、オンライン授業が実施できているケースは大学と比べて少ない。同省が4月21日に発表した公立学校の取り組み状況調査によると、同時双方向型のオンライン指導はわずか5%にすぎず、65自治体では児童・生徒への教科書配布も行われていなかった。
東京都内の私立中に通う子を持つ父親は「学校からは宿題が郵送されてきたが、ほとんどが前の学年の復習内容で質は悪い。丸付けも親がやらなければならない。在宅勤務になって収入が減り、生活は苦しいが授業料は口座から引き落とされ続け、何とも言えない気持ちになる」と苦悩を隠せない。この政府・行政による一連の“無能さ”のせいで、仮に生徒の学力が落ちてしまったら、まさしく“アホノミクス”といえよう。