前例主義と根性論が女性に苦労を押し付ける

そして、ここでもまた「根性論」がモノを言うのでした。それは「昔の人もそうやってきたのだし、子どもを産むのはそもそも痛いものなんだから我慢しろ」という前例主義を振りかざしたものです。

サンドラ・ヘフェリン『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)

でも私は、ニッポンの世間がこれほどまでに無痛分娩に対して厳しい一番の理由は「女にラクさせたくない」からだと疑っています。

なぜなら、医療において「自然であること」がそんなに素晴らしいことであるならば、「虫歯の治療は麻酔なしで行われるべき」という声ももっと聞こえてきておかしくなさそうです。

ところが、このようなことを言ってしまうと、男性も麻酔なしで虫歯の治療を受けざるを得ないような状況になりますから、たとえ虫歯の麻酔で子どもが死んでも「歯医者での麻酔」が問題視されることはほぼありません。

一部の男性、そして女性も洗脳されてしまい、とにかく女にラクさせるのはけしからん、女にラクさせるとロクなことが起きないと、何かにつけ「女に苦労」を押し付けることは残念ながら令和になっても、ニッポン社会の現実だということは知っておいたほうが良いかもしれません。

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