ヨーロッパの中流家庭では、週に何回か数時間に分けて掃除のために家政婦さんに来てもらう「掃除代行」サービスをしばしば利用しています。たとえば毎週月・金に3時間ずつ掃除しに来てもらう、というような形です。
もちろん欧米と日本の文化の違いも影響しているでしょう。家事の負担が軽減されると分かっても、日本には「知らない他人を自宅に上げる」ことを躊躇する感覚があります。
そして、これはまた前述の食器洗い機にも通ずることなのですが、「家のことぐらい自分でやろうよ」という考えがここでもまた幅を利かせているのでした。しつこいようですが、ここでいう「自分」とは結局は「妻や女性」です。
ドイツやスカンジナビアなどのヨーロッパ諸国では、今の時代「男性も女性も家事をやる」ため、「互いの負担の軽減のために家事代行を頼む」ことが少なくありません。
しかしニッポンでは、どこか家事が「女性担当」という認識があるため、「家事代行」→「女性がラクしたいだけ」→「女性がラクするのはけしからん」という思考が世間でしばしば見られるのでした。
お腹を痛めて産んだわが子はかわいい?
ドイツを含め世界の先進国では出産の際「無痛分娩」が主流となっています。よく理由を聞かれるのですが、ズバリ「女性が痛い思いをしたくないから」です。
ところが、ニッポンではどうしたことか、「痛いから無痛分娩にして」と言えないような雰囲気があるのです。知人女性のA子さんは妊娠する前から、「もし将来子どもを持つことがあったら無痛分娩」と決めていたそうです。
ところが、このことを口にすると、家族はもとより知人、医療関係者等ほぼ全員から「やっぱり、自然な形で産んだほうが良い」「なんでもかんでも欧米と同じようにやるのは違う」「お腹を痛めて産んだわが子だからこそ、後に子どもをかわいいと思える」と、普段はリベラルだと思っていた人たちからも、まるで昭和の姑が口にするようなことを言われたのだそう。ちなみに最後の「お腹を痛めて~」は実の母親から言われたのだとか。
近年、日本国内で無痛分娩をした女性が死亡した事件が相次いだこともあり、世間では「やっぱり無痛分娩は危険なんだ」というイメージが固定化されてしましました。
しかし、無痛分娩がそれほど危険なものなのであれば、欧米諸国の中で無痛分娩がとっくの昔に禁止されているはずです。しかし、そういった話はいっこうに聞こえてきません。
実は日本での無痛分娩にまつわる事故は、「医師が無痛分娩に慣れていないから、経験不足でミスが起きた」というのが現状です。知識や経験のない医師が慣れない無痛分娩を行ったことの結果です。にもかかわらず、日本では、従来通り「無痛分娩は良くない」「無痛分娩は危険」だという声が主流だったりします。