おじいちゃんのお誕生日もお祝いしよう
対面式の集まりがオンラインに移行すると、目的そのものが変わることもありますが、それはむしろいいことです。イベントはより簡素になり、コミュニティの最も深いニーズを反映するようになります。
社会的孤立が高まるなかで、バーチャルな会合の最も重要な役割は、孤独を食い止めることになるでしょう。目的を特定し、それに合った形で行うことで、その集まりを通じて意味とつながりが生まれます。それはバーチャルな環境ではより容易になります。
5歳の娘の誕生日パーティーをキャンセルせざるを得なくなったらどうしますか? 彼女の3人の友達も呼んで、FaceTimeで集まりましょう。同じ型紙を用意して、「パウ・パトロール(少年と子犬たちを主人公にしたアニメ作品。日本含め160カ国以上で放送されている)」の自家製のビークルを組み立ててみてはどうですか。
オンラインで人と会いたいと思う反面、良書を読むいい機会だと思っている人は、友達と集まって(あるいはツイッターやインスタで有志を集めて)一冊の本を一緒に、なんなら一冊丸ごと音読してみてはどうでしょう。これは私がドイツの劇団から学んだやり方です。
友達との交流を深めたいのであれば、オンライン上で「セブン・ソングス」という連続イベントを開催してみたらどうでしょう。参加者が一夜ごとに順番で「私を変えた7曲」を流します。
節目の誕生日もキャンセルしなくても大丈夫です。オンラインで集まって、離れて住んでいるおじいちゃんにお祝いの言葉を送りましょう。そして、おじいちゃんの人生を10年ずつ区切りながら振り返って、それぞれの時代における物語と教訓を語ってもらうのもよいかもしれません。
このような状況においても、気持ちを落ち込ませることなく、自分と自分の周りの人を健康に保つ方法はあるのです。
家に一緒にいる人たちと何をするか
こうしたことはすでに起こりはじめています。オンライン上で、ハッピーアワー、ダンスパーティ、コーラス、ヨガ、礼拝、持ちよりパーティー、アルコール依存症のリハビリなども行われています。日本ではオンラインで友人たちと飲み会をすることを指す「オン飲み」という新語まで生まれました。
私たちの多くが、ルームメイト、子供、配偶者など、他者とともに自宅待機をしています。その人たちと一緒に家にいるとき、相手の行動をいちいちチェックするより、ともに家にいることに意味をつくりだすことを考えてみてください。
毎晩「どんな人とでも恋に落ちる36の質問(心理学者のアーサー・アーロン氏の論文をもとにした人間関係を深める問い)」に1問ずつ答える、というのもいいかもしれません。
あるいはメトロポリタンオペラが無料で配信している「夜のメトロポリタンオペラストリーム」を一緒に聴いたり、ナショナルギャラリーが毎日やっているオンラインのライブツアーに参加するのもいいかもしれません。家族の読書会や、ポッドキャスト視聴会、ゲーム大会などもできるでしょう。
もちろん、世界中に拠点のあるグローバル企業や、自由に外出できない障害者のコミュニティなど、離れていても意味のあるつながりを実現してきたグループがあります。オートマティック社(ブログサービス、WordPressを手掛けるソフトウエア会社。社員全員がリモートワークをしている)のモー・カーター氏は、オンラインでハッピーアワーや、お別れ朝食会、さらには4時間のあいだ自由におしゃべりしながら働く「ワークアロング」、そして時には24時間のZoomミーティングなどを主宰してきました。