方さんは、蒼井そらの魅力についてこう語る。

「彼女は表裏がない感じです。ちょっと天然ボケのような感じが、素直で可愛いです。彼女は中国文化が好きですし、(ウェイボーのつぶやきで)何を食べたいとか、麻辛湯マーラータン(=野菜や肉を辛いスープで煮た中国の庶民に人気の料理)が好きとか。他の芸能人と違い、とても身近で、庶民的な感じがします」

反日感情の原因は、やはり教育にある

一部の中国人は反日感情を持っている。その原因について尋ねると、やはり「教育」という答えが返ってきた。

「中国の教育が大きな問題であるのは、世界中の誰もが知っています。幼い頃から、日本が中国を侵略したと教育されました。それは事実であり忘れてはいけませんが、それにずっとこだわって、小日本や日本鬼子などと日本を侮辱し続けています。テレビでは抗日ドラマばかりやっています。そんな環境では人々は無知になるし偏見を持ちます」

様々な情報に触れる機会の多い、都会育ちらしい考え方だ。冷静で開かれている。

しかし、いくら日本贔屓といっても方さんは生粋の中国人である。祖国が日本に侵略された歴史についてはどう思っているのか?

「歴史は無視できないし客観的に存在しているので、中国人として忘れてはいけません。しかし、1つの国家が大きくなるためには、ただ昔のことだけを追及して、他人の過ちを言い続けるべきではありません。本当に自分が強くなれば昔のことをそんなに気にしなくて良いはずです」

靖国問題は「僕らはどうでもいい」

その翌日、方さんの友人たちが集まってくれる運びとなった。皆、蒼井そらや日本が大好きという。場所は当然の如く日本料理店。皆でよく利用するというお好み焼き店であった。

徐静さん(32歳)は日系企業の通訳をしている。日本語が達者だ。アニメ好きが高じて声優になりたいと思い立ち、仕事を辞めて日本に留学したというユニークな経歴を持つ男性だ。

辛叡傑さん(35歳)は、地下鉄職員。日本語はできないが、いつか日本に行くのが夢だ。

2013年12月26日、安倍総理が靖国神社を参拝した。中国外務省は、午後3時に開かれる定例記者会見を待たず、ホームページで報道官談話を発表し、「強い憤慨を表明する」と激しく非難した。

靖国神社にはA級戦犯が祀られていると指摘した上で「中国と他のアジアの戦争被害国の人民の感情を粗暴に踏みにじる」からだ。この「中国とアジアの人民の感情を傷つける」は、中国政府が歴史問題で日本を非難する際に使用する常套句である。

靖国参拝について、その「感情を踏みにじられた」はずの徐さんは、流暢な日本語でこう話す。

「一国の首相が堂々と参拝したら、僕らはどうでもいいのですけれど、上(=政府)のおエライさんたちは、『何とも思わない』とは言えないのですよ」