ラッシュ・フィルムを見てつくられたメロディ
その日、私は「飛び出せ!青春」の現場にいたので、近くの喫茶店で待ち合わせをした。そこにショーケンは来なかったが、大野克夫と梅浦プロデューサーと3人で会ったまだ完成していない「太陽にほえろ!」の2時間ほどのラッシュ・フィルムを見て、彼はすでにメロディを作ってきてくれていた。
「こんなメロディでどうでしょうか……」
そう言って、その場で披露してくれた。この時の経緯を、大野はその後のインタビューで、こう話していたということを聞いた。
“その(企画の)話があってから、たまたま5日間位親戚の家に遊びに行っていて、ピアノで確か5曲位作ったと思うんですよ。それを、オールラッシュを見た後の打合せで、笛か何か持っていって……「こんなメロディーができているんですが?」って、聴かせたんです。そしたら岡田さんや梅浦さんが「ああ、いいじゃない!」って言ってくれたんです。でも一番最初の打合せの時、岡田さんに「これは何クールですか?」と聞いたら、「半永久的だ」と言われて、初めて覚えたての業界用語使って恥をかいた記憶がありますけど(笑)”
「ショーケンにだまされてみようか」と思った瞬間
私が「半永久的だ」と言ったかどうか、まったく覚えていない。だが、その当時の「長期番組にしたい」という思いが、そう言わせたとしても不思議ではない。音楽については、正直よくわからなかったが、もう腹を決めていたので、とにかくお願いすることにした。
早速、タイトルバックの寸法、これだけの長さの音楽が必要、頭(イントロ)もくっつけてほしい、などと注文したことを覚えている。
もう一つ、大野克夫にお願いした。
「そのメロディを売りたいので、いろいろな形に編曲して録音してください」と。
彼は、自信ありげに応えた。
「この曲なら、いろいろな感じの曲に編曲できます」
この時かもしれない。ショーケンにだまされてみようか、と思ったのは……。