子どもの眠るスキルを育てる「消去法」
子どもが寝なければ、親は疲れきってしまいます。そこで、最近の小児科関連の医学雑誌によく載っている「消去法」をご紹介します。
日本では、多くの保護者は子どもが泣いたらすぐに授乳や抱っこをしたり、寝つくまでそばにいてあげたりすると思います。アジア圏では、大人と子どもが添い寝をするのが一般的なのです。もちろん悪いことではなく、愛着も育ちますが、一方で子どもが「寝なければ、親がずっとそばにいてくれる」と誤った学習をしてしまいます。
寝かしつけの習慣は、国や地域によって異なるものです。欧米では生まれて数日したら、親子は別の部屋で夜間を過ごします。子どもがひとりで眠ることを学習するために合理的な方法とされているのでしょう。消去法というのは、こうした「寝なければ、親がずっとそばにいてくれる」という誤ったご褒美を取り除き、子どもが自分で自分を落ち着かせ、眠るスキルを育てる方法です。
具体的には、親が子どもを決まった時間に布団に寝かせたら、朝まであまり手を出さないようにする、ただそれだけです。必要な授乳はしますが、夜泣きをしたからといってすぐに授乳や抱っこ、眠るまであやすということは、なるべくしないようにします。赤ちゃんがふにゃふにゃ言っていると、つい抱っこしてあげたくなりますが、そのせいでかえって眠れなくなってしまうことがあるので、あえて手を出さないのですね。
さまざまな効果が証明されつつある
細かいところは、子どもの個性や家庭の事情に合わせてもいいと思います。たとえば、朝7時までは一切対応しないと決めてもいいですし、泣いたりかんしゃくを起こしたりしたときは、あらかじめ決めておいた時間(5~15分程度)だけ待って、それでも治まらなければ様子を見にいくルールにしてもいいです。親と同室で眠るけれど一切対応しない、という方法もあります。お子さんの様子を見ながら、自分たちにできそうなやり方を試してみてはどうでしょうか。
どのみち、保護者が隣にいて一緒に横になっていたらむずかしいと思います。子どもを布団に入れたら、保護者は残った家事などをしながら、ときどき様子を見にいくというのが現実的なやり方ですね。
消去法は以前から提唱されていた方法ですが、近年は研究分野において、さまざまな角度から効果が確かめられています。眠りにつくまでの時間、夜間に起きる回数、夜間に起きている時間、睡眠効率(横になっている時間のうちの、どのくらい眠っているか)が、この消去法によって改善するという結果が出ています。