延滞者の約半数は借金だと知らなかった

「貸与型奨学金が借金である」ということを、一部の学生やその保護者たちがそもそも認識できていないということは、日本学生支援機構の調査でも明らかになっています。「平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」によれば、奨学金返済を延滞している学生のうち、「返還義務があることを申し込み手続きを行う前に知っていた人の割合」はわずか50.9%。すなわち、延滞者の約半数は、この奨学金が借金であることを知らずに、貸与型奨学金の申し込みをしてしまっているのです。また、延滞の督促を受けて初めて返済義務を知る人も、延滞者の10%以上に上っています。

このような誤解による不幸な借金を増やさないためには、貸与型の奨学金は「奨学ローン」などに呼称を代え、給付型の奨学金と明確に区別できる形にするのが良いとは思いますが、個人のレベルでは、きちんと「貸与型奨学金は借金」という認識を持っておくことが必要だと思います。

善意の融資条件が裏目に出る

また、貸与型奨学金のもう1つの落とし穴は、ほとんど無審査・無担保で、誰でも比較的簡単に1000万円近くのお金を借りることができてしまうという点です。

社会人が借金をしようとする場合、「借りたお金をキチンと返せるだけの経済力のある人かどうか」を、金融機関によって審査されます。当然、支払い能力を超えるお金は貸してくれませんし、それでもさらにお金を借りようとする場合には、不動産などの担保が必要になります。

しかし、学生は仕事についておらず、収入もない場合がほとんどなので、奨学金ではこうした審査や担保がなくてもお金が借りられるようになっています。結果、自分の支払い能力以上のお金を借りてしまうと、卒業後の返済が大変重くなってしまうのです。

日本学生支援機構の貸与型奨学金には、無利子(第1種)のタイプと有利子(第2種)のタイプがありますが、有利子でも金利は0.5~3%と、一般的な融資に比べれば条件は優良です(奨学金以外で、無利子でお金を貸してくれるまともな金融機関はほとんどないでしょう)。

また、返済が難しい場合には一定期間返済を猶予してくれるなど、セーフティネットも用意してくれています。

しかしながら、いくら金利が低くても(無金利でも)、元金だけで1000万円近い借金をしてしまうと、卒業後の家計は確実に大きく圧迫されてしまいます。