いま、大学生の約2人に1人が奨学金を借りている。無審査・無担保で、誰でも比較的簡単に1000万円近くを借りられるが、後になって返済で苦しむ人は少なくない。実業家のオロゴン氏は「いくら金利が低いとはいえ、不要なお金は借りないに越したことはない。ほかに利用できそうな制度がないか、調べる必要がある」と説く――。
契約シーン
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混同される「給付型」と「貸与型」2つの奨学金

奨学金とは、学生を援助するために貸与または給付されるお金と制度自体のことを指します。現在、学生への奨学金事業や留学支援を行う独立行政法人・日本学生支援機構から奨学金を借りている大学生の数は、学生全体の約半数にものぼり、学生にとって大変身近な制度と言えるでしょう。

しかし、この奨学金によって、社会人としてスタートを切った直後から生活に困ってしまう若者も後を絶ちません。平成29年度末の時点では、奨学金の返済を3カ月以上延滞している人の数は約16万人にも上り、「返したくても返せない」という悲痛な声が上がっています。

生活をラクにするために借りたはずの奨学金で、なぜこんなにも苦しむ人が出てくるのでしょうか?

まず、筆者は、この“奨学金”という名前に問題があると感じています。

奨学金には、「貸与または給付される」とある通り、「返さなくていい給付型」と「返す義務のある貸与型」の2種類があります。前者はもらえるお金、後者はただの借金ですから、この2つはまったく別物なのですが、これが一緒くたに“奨学金”と呼ばれることで、借金であるほうの奨学金に危機感を感じにくくなっているのです。