原因はトラック運転手を取り巻く過酷な労働環境

「国の血液」と称される日本のトラックドライバーだが、こうして十分な休憩や睡眠時間、ひいては健康すら保障されない彼ら自身の体内では、ホンモノの血流に血栓ができる危機が迫っているという皮肉な現象が起きている。その根源にあるのは、彼らを取り巻く過酷な労働環境や荷主都合主義の風潮、時代に合わない商習慣やインフラなどだ。

橋本愛喜『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)

さらに、これらの原因は昨今、悲惨な交通事故やドライバー不足などといった「物流の血栓」をも生み出し始め、彼らの労働環境をより一層悪化させている。

こうなればドライバーも、足だって上げたくなる。いや、彼らが上げたいのは、足ではなくもはや“両手”なのかもしれない。路上で見る彼らの足上げ姿は、過酷な労働環境の表れだ。

「足上げて寝とると、足でクラクション鳴らしちまって、びっくりして飛び起きるんだよな」と明るく笑い合う、あの頃のおっちゃんたちを思い出す。

フロントガラス越しの「足上げ姿」ひとつで、彼らが「サボっている」と単純に誤解されるには、あまりに悲しい背景がそこにはある。

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