そこで図の需要曲線を用いて考えてみたい。
500円では買う人が限られるが、400円なら100本売れる商品があったとする。この場合、売上高は4万円である。価格を300円に下げると、売り上げは200本に伸び、売上高は6万円に増える。売上高で考えれば、高値の500円より400円のほうがいいし、300円ならなおいい、ということだ。さらに250円で250本売れるとすれば、売上高は6万2500円にアップする。これが最も効果的な価格といえる。
とはいえ、プライスメーカーの目的は、販売数を増やすことではなく、利益を得ることである。販売数量が少ないほうが、販売コストも抑えられる。ライバル会社があれば価格をつり上げるのは困難だが、独占状態に近くなると、ぎりぎり消費者が買ってくれる500円に価格設定する可能性が出てくるのだ。
圧倒的なシェアを持つと、自己中心的な価格設定をしがちになって、健全な競争が妨げられる。結果、消費者に不利益をもたらす可能性が生じる、ということだ。
業態によっても異なるが、プライスメーカーの規模が拡大されれば、消費者には安定供給、サービスの向上といった恩恵がもたらされる。しかしその一方で、適正範囲を超えた利潤が価格に上乗せされる、つまり高いものを買わされる危険性もある。
もっとも少子化で国内の需要が先細りするなか、海外市場で日本企業が稼ぎ、日本国に納税してくれることは、喜ぶべきことである。両社の統合が消費者にも利益をもたらす形で進み、国際競争力のある企業が誕生することに期待したい。
なんだか喉が渇いてきた。今宵も、「とりあえずビール」といきますか。