何か起こらないと動かない厚労省の体質に憤り
今回はクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)での防疫の不備が批判されましたが、「介護施設ではあのようなことはあり得ない」といいます。
「ただ、どんなに予防を徹底しても、インフルエンザやノロの感染者が出ることがあります。その場合、感染者用の部屋に移っていただきます。ケアを担当する職員は、全身を覆う防護ガウン、ヘッドカバー、シューズカバー、手袋、マスクを着用。ウイルスが他の入所者に感染しないよう配慮しています」
ケアマネジャーをはじめとする在宅介護のサービス提供者も、感染症予防のため、各自がウイルスを持ち込まないよう配慮しているといいます。
「在宅介護を受けている方は基本的に外出されないですし、外出は控えるようにしていただいています。だから、ウイルスを持ち込む恐れがあるのは、介護サービスの提供者です。介護職の人間も仕事を離れれば普通に生活しています。買い物にも行くし、電車にも乗る。職場でどれだけ気をつけていても、そこで感染して持ち込んでしまう恐れはあります。新型コロナウイルスの場合は、これまでの経験が通用するのか分からないところが不安です」
こんな厚労省で要介護・要支援認定者659万4000人は大丈夫なのか
そんな危機感・恐怖感があるからでしょう。東京の介護施設職員が感染したというニュースを聞いた時、Tさんは、「恐れていたことが起きてしまった」と深刻に受け止め、何か起こらないと動かない厚労省の体質に改めて疑問を持ったといいます。
「厚労省が具体的な対応策を示していたとしても老健職員の感染は防げなかったかもしれませんが、そうなる確率を少しでも下げるための対応策や情報は、速やかに出してもらいたいですね」
2019年春時点での日本における要介護・要支援認定者数は659万4000人(男性207万4000人・女性452万人)だ。Tさんら介護の現場の人々が懸命にケアする被介護者が新型コロナ禍に巻き込まれないことを祈っている。