また、単純労働者である移民とは、高卒もしくはそれ以下の学歴である移民を意味し、ドミニカ共和国、エクアドル、ハイチ、メキシコ、ポルトガルの出身者となっている。彼らは、大卒である非ヒスパニック系の女性と労働市場で競争することが少ないと想定されている。

移民の増加で市民間の格差が広がるかもしれない

分析の結果、移民のおかげで、高学歴の女性市民は、仕事も出産も両立しやすくなると指摘している。ある都市において大部分がヒスパニック系である単純労働者移民の割合が増えると、その都市に住んでいる大卒でヒスパニック系でない女性市民の労働参加と出産の兼ね合いが弱まるのだ。つまり、移民が主要な役割を担っている育児支援サービスを利用できるので、出産しても仕事をあきらめなくてよくなったのだ。

友原章典『移民の経済学』(中公新書)

女性の社会進出についてと同じような結論になっているのが分かる。恩恵を受けるのは高学歴の女性だということだ。移民の増加が、それ以外の女性にとって、仕事と出産の両立に役立つかどうかは不明だ。移民と仕事を奪い合うような女性には、どのような影響があるかは分析されていないからだ。

ただ、技能を持たず、賃金が低い女性には、移民の増加による家事代行サービスの恩恵があまりないことや、自分たちの雇用や賃金に影響が出る可能性も考えると、高学歴でない女性には仕事と出産の両立という恩恵はあまりなさそうだ。また、恩恵を受ける人とそうでない人の間で、格差が開くかもしれないことにも注意が必要である。

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