世界経済フォーラム(WEF)が毎年12月に発表する「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」。政治、経済、教育、健康の4分野と総合で、各国の男女格差を比較する。よく知られるように日本は先進国のなかでいつも最下位。2019年版では153カ国のうち121位と、2018年の110位からさらに順位を下げた。日本は男女の賃金格差も根強く残り、OECD加盟国の中で3番目に大きいことがわかっている。なぜ性別による賃金格差がなくならないのか、黒田祥子教授に解説してもらった。
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入社時は同じだった給与に差が

年齢も入社年も学歴も同じなのに、男女の違いだけで給与に差がつく。そのような性別による賃金格差は、多くの企業で見られます。

統計データを見てみましょう。厚生労働省が毎年6月に実施している「賃金構造基本統計調査」です。

大学卒の男女を比較すると、入社時にはほとんど賃金に違いがありません。ところが、20代後半から男性の給与は高くなり、勤続年数が増えるにしたがって差はどんどん開いていきます(図表1)。

性別による給与格差は依然として大きいまま

1990年ごろまで、女性の平均給与は「男性の60%前後」でした。この数十年で少しずつ賃金格差は縮まる傾向にありますが、現在でも男性の約75%にとどまっています。

このような格差は大企業、中小企業にかかわらず見られ、また日本だけに特徴的というわけではありません。