面接で「すみません! 間違えました」
長く採用面接をやっていると、実にさまざまな就活生と出会います。
「この学生は、準備に準備を重ねてきたんだな」
「おっ! この学生は素の自分を知ってもらいたいんだな」
おおよそ、このふたつに分かれます。少しだけ紹介しましょう。
準備に準備を重ねる。たしかに面接では大事であるとされてきました。ですが、これもまた古い就活。残念ながら面接官の心にはあまり響きません。
以前、私が面接した中で、自己紹介の途中にこのようなことをいう就活生がいて、思わず苦笑いしてしまったことがありました。
「すみません! 間違えました。もう一回いいですか?」
間違えたとはどういうこと? 台本でもあったの?
これほどではありませんが、準備してきた面接というのは採用のプロに簡単に見抜かれてしまうものです。私の場合は最初の1分間で見抜いてしまいます。
「準備面接」がダメとは言い切れない理由
こうした“準備面接”が古い就活であり、真っ向否定したいところなのですが、必ずしもダメだというわけではないのが、面接の難しいところでもあります。
それは、いまだに古き良き面接というものもあるからです。
旧態依然とした体質が残っている企業の面接では、重役が横にずらっと並んで、時間は5分、10分で、テーマが決まっているようなものがあります。
そうした面接はまさに準備面接になるわけですが、そういう企業体質をしっかりと理解したうえで自分を演じるということが大事だということ。ただし、そうした企業は確実に少なくなっているというのが私の見解です。
例えば、銀行といえばやはり伝統を重んじる旧態依然とした企業体質という印象があると思いますが、最近では銀行でも個性的な学生が好まれることもあるようです。
さらにいえば、大手広告代理店から内定をもらえる学生が大手銀行からも内定をもらった、公務員でも人柄が伝わるコミュニケーションを重視しているというケースもあり、古き良き企業の面接や採用基準も少しずつ変化を遂げてきています。