黄金比率は「準備3割、素の自分7割」

では、まったく準備をせずに面接に臨めばいいかといえば、それもまた違います。

私の新しい就活の概念では、面接は「準備3割、素の自分7割」という黄金比率を提唱しています。

先に述べた、自分の人生経験から得たスキルや価値観といった武器をポケットに詰め込む作業、これこそが面接における大事な準備にあたります。ポケットには、できるだけ多くの武器を忍ばせておき、あとは素の自分で勝負するのです。

素の自分で勝負をするというのは、「自分」というキャラクター軸を絶対に変えないということです。そのかわり、受ける企業によってマントだけかえる。これが、私の推奨する面接の極意でもあります。面接を受ける企業の社風やどういったタイプの人間が多く働いているのか。そうした情報を得ることで、羽織るべきマントは決まってくるはずです。

実は、企業選びにあわせてこうしたマント選びができる就活生こそ、広告代理店と銀行から内定をもらえる就活生なのです。

銀行系はお金を扱う仕事ということもあるので、かなりセンシティブな人材が求められます。でも、広告系ではそこまでセンシティブだとかえって選考から外れてしまう可能性もあります。つまり、同じことを伝えるにしても相手によって伝え方を変えるということを戦略的にできるかどうかです。

私自身、今の会社に転職する際、広告代理店と大手IT企業、その他にも有名企業の内定をもらいました。

あえて違う業界を受けてみたわけですが、内定は出るものです。なぜなら、面接官は私の素の部分を評価してくれたからです。

「日本を元気にしたい!」といきなり言い出す就活生

「日本を元気にしたい!」
「地元を盛り上げたい!」

面接で、このようなことを平気な顔をして言う就活生が実に多いことに、驚かされます。たしかに、そうした言葉に明確なビジョンやストーリーがあるならば、「なるほど」と興味が湧いてきます。

ですが、「いつからそういった志を持っているの?」と訊ねると、「はい。半年ぐらい前にいろいろ考えました」といった答えに、私はがっかりしてしまうのです。

そうした就活生には、日本を元気にする、地元を盛り上げるだけの根拠に乏しいと言わざるを得ません。

間違った自己分析や就活用につくる曖昧な根拠の中で、たまたま見つけて信じ込んでしまった日本を元気にしたい、地元を盛り上げたいという夢。そして、人の役に立つことで「ありがとう」と言われたいという志などは、いわば空虚だということをまずは認識しなければなりません。