現在、米国における連鎖倒産といった最悪の事態は思った以上に早く進んでおり、米国の債務は半年ですでに3倍に増えています。オバマ新大統領も、有効なビジョンを打ち出しているとは思えません。さらなる消費を推奨し、投資や貯蓄を制限しているだけです。ほどなく米国は超大国としての地位を失い、米ドルは基軸通貨でなくなるでしょう。
現在、GMやシティバンクなどは完全にファンダメンタルズが損なわれている。公的資金の注入などせず、一度バランスシートをきれいにして、やり直すべきなのです。むろん失業者があふれ、一時的に大変なことになるでしょうが、それを覚悟して政府がセーフティーネットを用意しておくべきでしょう。
例えば、日本のバブル崩壊後の90年代後半、政府は、事実上経営破たんしている「ゾンビ会社」に資金を注入し続けました。結果、その後8年間にわたって、株価は8割下落し、10年以上にわたり不況に苦しむことになりました。
一方で、同じく90年代後半、韓国経済は一度崩壊しました。が、すべて清算した後、世界でも有数の経済成長を遂げたのです。このような過去の歴史に学び、一度痛みを受け入れてから、新たにスタートすべきなのです。
今、お金の流れは、西から東へと動いています。アングロ・サクソンを中心とした西洋モデルが行き詰まり、世界の債権国は今、中国、日本、韓国、シンガポール……すべてアジアでしょう。人、モノ、芸術、すべてはお金の流れについていくものです。どんな逆境でも儲ける人はいるものですが、変化をいち早くキャッチできる人が勝者となるのです。私も2年前、家族とともに米国からシンガポールに引っ越しました。娘たちもこのままアジアに定住するでしょう。
米国に代わり、21世紀の超大国に躍り出るのは中国です。現在、米国が世界最大の債務国であるのに対し、中国は最大の債権国となりました。金融危機以降、米国の政治家は、ウォール街の友人を救うために資金を切り崩しているのに対し、中国政府はいち早く、4兆元の景気刺激資金をもって、農業やインフラ整備といった未来への投資を行おうとしています。私はこれを評価しており、中国株も、いずれ値上がりするでしょう。