中東の動乱、超円高、食糧高騰……揺れ動く世界の中で、5年後、10年後の資産を殖やすにはいま、何に投資すればよいのか。来日したロジャーズ氏に語ってもらった。
――中国経済の今後については、どんな見通しをお持ちですか。社会格差の拡大や人権問題への対応など、成長を阻害する要因はないのでしょうか。
中国の成長はこれからも続きます。「プレジデント」誌には何度か取材を受けていますが、その度に「中国を買え」「コモディティを買え」と繰り返している。私の発言が変わらないのは、それが正しい判断だから。中国が有望な投資先であることに変わりはないでしょう。
おっしゃるように、中国は大きな問題をいくつも抱えています。そう遠くない将来、中国のGDPがアメリカを上回ることは確実ですが、一人当たりGDPで見れば、アメリカ、日本、ドイツなどの先進国にまだまだ追い付けない。でも、19世紀のアメリカを考えてみてください。南北戦争、人種問題をはじめ、多くの問題を抱えながら、経済的な成功を収めた。中国も同じで、暴動などは起こっても何とか切り抜けられると思います。
その点に関してはあまり心配していませんが、中国に関して長期的な懸念は水不足です。飲料水だけでなく、工業用水、農業用水など、すべてが問題になってくる。これは戦争より深刻です。人間は水がなければ生きてゆけませんからね。中国やインドの政府はそこがネックだと気づいているので、対策は進めています。もし水問題がうまく解決できなければ、中国の成長の物語は終わってしまう。つまり、水ビジネスは、これから20年ほどの注目分野になるということです。
投資家として成功したいのなら、世界の水問題を解決する事業に投資するのもいいでしょう。たとえば、投資先の企業が低コストで海水を真水に変える画期的な技術を開発すれば、莫大な財産を築けるはずです。