老人ホームに入居するべきか否か

では、実家を売却して老人ホームに入るのはどうでしょうか。これはケアマネージャーさんも勧められており、私もそれしかない、と考えていました。不幸中の幸いで、実家のある場所は、札幌市内でも交通の便が良く、しかも、都市再開発が進んでいる地域です。建物の価値はないものの、土地自体は値上がりしており、売却価格も高くなりそうでした。

さらに、土地の権利を持つ叔父(伯母からすれば兄弟)は3人とも売却に反対しているわけではありません。上の叔父に聞いたところ、「売却するなら、それを兄弟姉妹で等分するのではなく、R伯母・E伯母の老人ホームの費用に充ててもらっていい」とまで言っています。

実家が売れない、売れても相続でもめる、というのは良くある話ですが、この点では問題ありません。

あとは、R伯母・E伯母が決断してくれればいいのですが、実家売却・老人ホーム入りは頑なに嫌がっています。まずは老人ホームの費用の問題。実家を売却してもそれほど価値はなく、2人が老人ホームに入れるほどではない、とE伯母は主張します。入れたとしても、お金が続きそうにない、と。

老人ホームへの入居を拒絶する2人の伯母

実際に、土地売却の見積もりを取ったかどうかは不明です。数年前に見積もりを取っていたかもしれませんが、少なくとも、2019年には見積もりを取っていません。実家は都市再開発が急に進んでいる地域で2014年と比較した場合、20%近く上昇しています。

新たに見積もりを取ればまた違うはずなのですが、私が不動産業者を当たろうとしたところ、「余計なことはするな」と止められました。

次に、これが一番大きなところなのですが、R伯母・E伯母とも「狭い部屋に入りたくない」「知らない人と新たに人間関係を作っていくのも嫌」とのこと。確かに、一軒家である実家から老人ホームに移れば、個室。施設にもよるでしょうが、狭く感じるのは当然です。「老人ホームの職員が本当に面倒を見てくれるか、疑問。いろいろな事件もあるし」とも話していました。

確かに、介護施設職員による虐待事件はよく報道されます。虐待まではいかなくても、利用者は70代~90代。職員は20代~40代が中心。年齢差がある以上、さまざまなトラブルが想定できます。「もう2人でこの家でやれるところまではやっていく。で、ダメになったときにまた考える」。R伯母・E伯母とも、老人ホームについてはそう話して、拒絶しています。