身寄りのない親族に介護を拒否されたらどうすべきか。フリーライターの石渡嶺司氏は「甥としてできることをやろうと,東京から札幌に住む伯母2人のお世話を試みました。しかし、私の提案に伯母が感情を爆発させてしまったんです」という――。(第2回/全3回)
「老人ひきこもり」とでもいうべき状態
札幌市郊外にある母親の実家に住むR伯母(87)、E伯母(82)。ともに後期高齢者で、かつ独身で近くに親族はおらず、他に頼れる人がいません。さらに最近では認知症の症状が進行しています。そこで私は出張という名目で東京から札幌に飛び、ホテル代わりに実家の部屋を使わせてもらっていました。
もちろん、札幌で学生や企業、大学などの取材を少しはします(本業なので)。しかし、それは名目で、実際には、実家の買い物なり、細かい手続きなり、雪かきなど力仕事なりを手伝っていました。それでも東京在住の私が行けるのは月に1回か2回が限度。甥である私のやれることも限度がありました。
そしてR伯母・E伯母ともに入退院を繰り返し、病弱です。しかもE伯母は認知症が緩やかに進行していました。それでいて、近所付き合いはそれほどありません。何かあったときにすぐ駆けつける親族や友人・知人が近隣にいるわけでもありません。
デイサービスは職員の対応が悪かった、という理由で行かなくなり、他のデイサービスも利用しようとはしません。つまり、老人ひきこもりとでもいうべき状態です。病弱な後期高齢者が「老老介護」をしなければならず、どう考えても今までと同じ生活をおくることは限界が来ていました。