身寄りのないおじ・おばが「要介護」になったとき、親族はどう向き合えばいいのか。フリーライターの石渡嶺司氏は「実子でないため法的な扶養義務はなく、関係がこじれると放置するしかない。私の場合、80代の伯母のためにいろいろと動いた結果、本人から『出入り禁止』を言い渡されることになってしまいました」という――。
水道管工事を巡り、伯母、大荒れ
母親の実家である札幌市郊外に住む2人の独身伯母。甥として、2人のお世話を始めた話の続きです。水道管工事が必要となったのですが、R伯母(87)は「2階部分はお金がないからできないし、工事は不要」と言い張っていました。
私は一計を案じて工事費を分割し、43万円中、13万円を負担することにしました。伯母には残りの金額を伝えて承諾を得ました。が、依頼した業者は誤って43万円の請求書をR伯母名義で実家に送ってしまいました。
さあ、R伯母が怒る、怒る。R伯母は「HS工事はひどい! 見積もりも出さずに請求書だけ送り付けた!」と大騒ぎ。
――えーと、まず、話を聞いてくれる?
R伯母「なんなの、あのHS工事。勝手に請求書を送りつけて43万円なんてとても払えない! 生活だって苦しいし!」
全然、私の話を聞いてくれない。うん、まあ、年金暮らしで、かなり切り詰めているのはわかります。だからこそ、分割払いで、という話になりました。
なお、分割払いは正確には年金が出る月ごと。つまり、月ベースで考えると6回払いです。生活が苦しいとは、食も切り詰めている、病院だって行きたくても行けない、とのこと。これ、書けば一行なんですが、同じ話を3時間にわたって、累計18回も繰り返していました。