右派による連合も同じ穴の狢

欧州では、右派の穏健派と急進派による連合が政権を運営する可能性も現実味を帯びてきている。こうした展開は、急進右派政党AfD(ドイツのための選択肢)の躍進が続くドイツであり得るシナリオだろう。とはいえそうした右派連合ができても、穏健と急進が水と油である以上、左派連合と同様の結果がもたらされると予想される。

安倍首相による長期安定政権が続く日本には縁遠い話に聞こえるかもしれないが、こうした欧州の事情は必ずしもひとごとではない。右派と左派の立場を問わず、近年は過激な主張が目立ちはじめており、一定の支持を得ている節がある。そうした主張は一見心地良く聞こえるが、きちんと聞けば暴論であり、無責任といわざるを得ないものも目立つ。

各国で現れ方がちがうとはいえ、穏健派が求心力を低下させ、急進派が勢いを増していることはグローバルなトレンドといえる。たとえばアルゼンチンで19年12月に誕生したアルベルト・フェルナンデス新政権もまた、バラマキを是する典型的な極左政権だ。極左政権の下で経済が混乱を繰り返してきた歴史の教訓が全く活かされていないことになる。

先進国では欧州が急進派の台頭する最先端にあるが、それゆえ限界や綻びも早く見えてきている。確かに変革は必要であるが、真の変革には相応の時間や痛みを要するものである。急進派の甘言に惑わされても、結局は政局の混乱につながり、決められない政治が続くことを、われわれは肝に銘じるべきだろう。

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