英国は年明け1月末をもってEUから離脱する
12月12日に行われた英国の総選挙では、与党・保守党が単独過半数を得て勝利した。当初の世論調査では保守党の圧勝が見込まれていたが、選挙戦の終盤には労働党の支持率も上昇し、接戦が伝えられるようになった。しかしながら蓋を開けてみると、出口調査段階では保守党が改選前から80ほど議席を増やす圧勝となった模様だ。
これを受けて英国は、ボリス・ジョンソン首相が10月に欧州連合(EU)との間で合意に達した協定案に基づきEUから離脱する道筋を立てることができた。2016年6月の国民投票から約3年半の間、交渉期日を3度延期するなどの紆余曲折を経て、英国はようやくEUから離脱する運びとなったわけである。
今後、英国は年明け1月末の期限をもってEUから離脱する公算が大きい。そして来年末までは、いわゆる移行期間としてEUとの間の通商関係は現状のままで維持される。この間に英国はEUや第三国と通商協定を締結する必要に迫られるが、実務的にほぼ不可能であるため、移行期間は22年まで延長されることになるだろう。
揉めに揉めたことで英社会が疲弊しきってしまった
そればかりか、英国とEUの双方が合意すれば、22年までと決められた移行期間の延長がその後も年単位で更新される可能性がある。いずれにせよ英国は、形の上ではEUから離脱したものの、移行期間が続く限りにおいては「準構成国」としてEUに引き続きとどまることになるわけだ。
英国はEU離脱の是非をめぐって揉めに揉めたが、今回の総選挙を受けて1月末の離脱がほぼ確定的な情勢となった。保守党の勝利が意味するように、結局のところ離脱派の優勢が覆らなかったわけだが、その大きな理由として、揉めに揉めたことで英社会が疲弊しきってしまったことがあると考えられる。