『ホモ・デウス』のハラリ氏が「現在」を問う

ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、『21 Lessons』(河出書房新社)

第10位の『21 Lessons』にも注目です。『サピエンス全史』で人類の「過去」を、『ホモ・デウス』で人類の「未来」を描いたユヴァル・ノア・ハラリ氏が、人類の「現在」について問いかけています。

本書では、まずテクノロジーの発展が社会制度やイデオロギーに与える影響について検討し、それを踏まえたうえで、私たちはどう生きるべきなのかが語られます。本書に登場する21の論点は「自由」や「平等」のような政治思想から、「雇用」や「ポスト・トゥルース」といった社会問題、「謙虚さ」や「意味」といった哲学的議論までさまざまですが、どれも明快に語られており、非常に興味深い内容となっています。

日々の生活から少し離れ、人生の意味や意義について思考を深めたい人におすすめです。いつもとは違うレンズを通して「現在」を見つめることで、普段気づけなかったことが見えてきます。

1本のロウソクから、科学のおもしろさを知る

最後にご紹介するのが、第12位『ロウソクの科学』。今年のノーベル化学賞に選ばれた旭化成の名誉フェロー、吉野彰氏が愛読したことで注目を集めた古典的名作です。

ファラデー著、三石巌訳『ロウソクの科学』(KADOKAWA)

本書に収録されているのは、「ファラデーの法則」で知られるファラデーの、クリスマス講演の内容です。1本のロウソクを通して、科学の面白さ、自然の法則、そして人間同士や人と世界との交わりを伝えるその手腕は、さすがとしか言いようがありません。現代の理科で採用されている実験も多く、少年少女たちの心をつかむような工夫が盛りだくさん。幼少期に吉野氏が本書を読んで、科学のおもしろさを知ったというのも納得の内容です。

ファラデーが伝えたいメッセージは、現代にも十分に通じるものです。学生時代に戻ったつもりで、科学のおもしろさにいま一度浸ってみてはいかがでしょうか。

今月のランキングでは、先月も読まれた書籍がいくつもランクインしました。『時間革命』(第4位→第3位)、『諸葛孔明 人間力を伸ばす7つの教え』(第12位→第11位)、『会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン』(第6位→第16位)の他、2019年上半期ランキング第1位だった『1分で話せ』も、再び第15位まで順位を上げています。2020年初の月間ランキングはどうなるのか、注目したいところです。

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