国だけでなく弁護士会も猛省する必要がある

要するに、国によって弁護士の仕事は異なるのです。それにもかかわらず法曹人口を弁護士と裁判官、検察官だけに限定して比較すれば、日本が見かけ上法曹人口が足りないとなるのは明らかです。実際、弁理士、税理士、司法書士、行政書士を加えて比較すれば、2001年当時でもフランスよりは充足していました。

田村秀『データ・リテラシーの鍛え方 “思い込み”で社会が歪む』(イースト新書)

この四つの士業に弁護士を加えた弁護士等一人当たりの国民数を見ると、2018年にはフランスが1024人、日本が640人、ドイツが499人、イギリスが396人、アメリカが260人となっています。アメリカは別としても、諸外国と大幅に違うとまでは言い切れないでしょう。

もしかすると弁護士の多くは、隣接士業と呼ばれる資格の人たちとは違うという一種の特権意識を持っているのかもしれません。そのようなプライドを持つこと自体はとやかく言うべきではないかもしれませんが、国の政策を議論する際に客観性の乏しいデータで弁護士不足を声高に叫んだ結果、どのような事態を招いたのかということについて、国の関係省庁(法務省、文部科学省)だけでなく、弁護士会も猛省する必要はあるのではないでしょうか。

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