タクシー、デリバリー、配車サービスを支える4つの強み

では、ここで、ウーバーの会社概要などを詳しく見ていきましょう。ウーバーはトラビス・カラニック氏とギャレット・キャンプ氏が2009年3月に創業し、米国カリフォルニア州のサンフランシスコに本社を置いています。

米国証券取引委員会(SEC)に申請したIPO目論見書「FORM S-1」(2019年4月11日付)によれば、ウーバーは、「世界を変えていく機会を創出する」というミッションのもと、「パーソナル・モビリティ」「ウーバー・イーツ」「ウーバー・フレイト」という3つのプラットフォームを提供するとしています。そして、これらプラットフォームの基盤として、「大規模なネットワーク」「最先端テクノロジー」「オペレーショナル・エクセレンス」「プロダクトに関する専門性」を挙げています。

とりわけ「大規模なネットワーク」と「最先端テクノロジー」はウーバーの事業を特徴付けるものです。前者はドライバー、顧客、レストラン、運送業者など、さらにはビッグデータ、テクノロジー、インフラで構成されています。後者はマーケットプレース、ルーティング、ペイメントにかかわるテクノロジー。特にマーケットプレース・テクノロジーは需要予測、マッチングやプライシングに活用されています。

AI「ミケランジェロ」を駆使した相乗りサービスも

ウーバーの主力事業は「パーソナル・モビリティ」、つまりライドシェアです。そのビジネスモデルは、クルマを所有せずドライバーも雇用しない、その代わりモノやサービスの提供者であるドライバーやタクシー会社とその購入者である乗客を仲介するというもの。また、ライドシェア以外にも、オンデマンド配達サービス「ウーバー・ラッシュ」、運送トラック配車サービス「ウーバー・フレイト」、登録レストランなどの料理を一般人である「配達パートナー」が運ぶ「ウーバー・イーツ」など様々なサービスを提供しています。

特に指摘しておきたいのは、ウーバーはテクノロジー企業であり、「ビッグデータ×AI」企業であるという事実です。ウーバーは機械学習プラットフォーム「ミケランジェロ」を構築し、誰もがAIを活用できるよう、社内の開発環境を整備しています。

AI活用の一例が「ウーバープール」です。これは同じ方面に向かう他のユーザーと相乗りすることで、低料金で乗車できるサービスですが、このサービスを運営するには、正確な到着時間を予測して、どのユーザーを相乗りさせるか、スムーズに算出しなければなりません。ウーバーはここにAIを用いた独自の経路検索エンジンを活用しているのです。