不安要素は増大するばかり
それでも構わず文氏は南北統一を目指している。文政権下、改革の進展は期待しづらい。文氏の経済政策には、さらに世論分断を深刻化させる側面がある。最低賃金引き上げは、韓国の雇用を減少させた。労働争議や安全保障面への不安から、韓国から脱出する企業も増えている。
企業の海外脱出が増えれば、韓国の雇用・所得環境は一段と厳しさを増し、格差問題は深刻化するだろう。やや長めの目線で考えると、韓国の政治家が世論をまとめ、社会全体で新しい発想の実現を目指すことは、これまで以上に難しくなる可能性がある。
文大統領の経済や安全保障などの政策は、こうした不安要素を解消するのではなく、増大させているように見える。世界経済を支えてきた米国経済の減速や、米中貿易摩擦の激化などが鮮明化した場合、韓国の社会・経済はさらに厳しい状況を迎えることが懸念される。