「不謹慎狩り」をする人は正義心が強い

何事においても「○○すべき」「○○しなくてはならない」と考えて、自分をがんじがらめに縛ってしまう思考法を「シュド思考」といいます。私は、こうした「不謹慎狩り」や「有名人の発言狩り」をする方々も、「シュド思考」に縛られていると見ています。

おそらく、こういうことをする方は、もともと正義心や道徳心が強く、「○○でなければならない」「○○すべき」という思いを常に抱いているのです。

しかし、現実の生活では、仕事でも何でもほとんどの物事は自分が思っているような「あるべき方向」には進んでくれません。このため、自分の心の中で不満感や不遇感を大きくふくらませてしまい、その鬱憤うっぷんを晴らそうとして、正義や道徳の名のもとに他人を攻撃しているのではないでしょうか。

ちなみに、このようにネットで社会正義のために闘う人たちを海外では「ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアー」と呼ぶのだそうです。ただ、この呼び方は揶揄的に使われる場合がほとんどで、「安っぽい正義感を振りかざして独善的な考えで他人を攻撃する人たち」のような意味合いが込められています。

前頭葉の働きが低下すると攻撃性が増す

また最近は、有名人のマナーを批判する「マナー警察」、礼儀作法を批判する「礼儀作法監視官」のようなウォーリアーもいるのだそうです。実際には、こういうウォーリアー的発言をするのは、ごく少数の人たちなのでしょうが、ネットだと尖った発言や批判がどんどん拡散されていく傾向があるため、あたかも多くの人が言っている意見であるかのように広まっていってしまうのでしょうね。

ともあれ、私は、このようにネット上で他人の落ち度を探し、隙あらば攻撃しようと狙っているような人は、たとえいまは年齢が若くても、歳を重ねるうちにより脳を衰えさせやすくなっていくだろうと見ています。

とくに気をつけたいのは、前頭葉の機能低下とともに、不満感や不遇感をどんどんふくらませてしまいかねない点です。加齢とともに前頭葉の働きが低下してくると、理性や感情をコントロールする機能が落ちてきます。

すると、「○○でなければならない(のにそうならない)」「○○すべき(なのにできない)」といった日頃の鬱屈した不平不満がより爆発しがちになって、他人への攻撃性がいっそう先鋭化していくと考えられるのです。