若い頃から自分の「市場価値」を意識することがとても大事

なかには、成長意欲を見せる高齢者もいます。

「自分の経験と努力が報われたと考えている。今もスキルアップを目指しながら仕事をしている。この歳になっても現在の仕事が好きである」
「ひとつの仕事をしていれば、自ずと経験が増え、今まで気がつかなかったことが見えてきたり、できなかったことができるようになったりするなど積み重ねの結果が活かされるので、仕事が面白くなってきた。人間は何歳になっても捨てたもんじゃありませんよ」

今まで培ってきた専門性やそれにひもづく人脈が、高齢になっても働ける理由となっていることが、今の状態に安住せず勉強し続ける姿勢につながっていることがうかがえます。

メイテック広報部・部長の三宅隆弘氏は調査結果を踏まえ、次のように分析します。

「メイテックは、エンジニアという職業で生涯働き続けられる働き方をサポートしている会社です。その視点で申し上げると、若い頃から自分の『市場価値』というものを意識することがとても大事なことです。そして、その市場価値を高めるために、自分の技術力と人間力を最大限に高める努力と、世の中に貢献し続けたいという飽くなき思いがあれば、長く働き続けられるのだと思います」

前述した「就職したくても採用されなかった」という高齢者からは、古い技術や経験が評価されない、という意見もありました。また、営業や企画・総務などの職種の人は、エンジニアのような専門職よりも採用されにくいかもしれません。

しかし、外部環境が目まぐるしく変化する現代社会においては、好奇心や社会に貢献をしたい強い思いと自己成長の意欲が大切になると感じます。

写真=iStock.com/pixelfit
※写真はイメージです

世の中の変化が速くなっていることから、年齢を問わず、将来の雇用への不安を抱える人は少なくありません。慶應義塾大学名誉教授でキャリア論の第一人者である花田光世さんは『「働く居場所」の作り方』(日本経済新聞社)の中で、「不安を持つのは当たり前。でもだからこそ、自分で楽しむ一歩を踏み出してみる」と不安を受け入れることの大切さを指摘しています。

不安はなくそうと思ってもなくなりません。将来働き続けられるかどうか不安に思っている自分を客観視し、とにかく一歩踏み出し前に進むことが重要なのではないでしょうか。

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