ライトオンは「ジーンズ強化」を選んだ

こうした流れにジーンズ量販店は対処しなければならないわけだが、企業によって対処の仕方が大きく異なっていることが興味深い。大きくは「ジーンズ強化」と「脱ジーンズ」の2つだが、ライトオンは「ジーンズ強化」、マックハウスとジーンズメイトは「脱ジーンズ」に舵を切っている。

写真=ライトオンプレスリリースより
ライトオン「浦添パルコ店」(沖縄県浦添市)の外観。

ライトオンは18年から売り場のコンセプトを、陳列量を重視する「ジーンズショップ」から提案型の「ジーンズセレクトショップ」へと転換を図った。これはあくまで販売手法の変更であって、ジーンズを核としていることには変わりはない。むしろジーンズに力点を置く考えで、プライべートブランド(PB)を強化するなどして「ジーンズ/ボトムスの品揃え・販売力という強みを継続して活かしていく」という戦略を打ち出している。

ジーンズメイトは「脱ジーンズ」の道へ

一方、マックハウスとジーンズメイトは「脱ジーンズ」を選んだ。

マックハウスは「ジーンズカジュアルショップ」から「ジーンズを中心としたファミリーカジュアルショップ」への脱皮を図っている。具体策としては、従来の男性向け中心から、女性や子ども向けも多くそろえた新業態「マックハウススーパーストア」や「マックハウススーパーストアフューチャー」の出店を強化するなどしている。ジーンズを核としながらもジーンズにこだわり過ぎることなく、幅広い品ぞろえで対応する考えだ。

ジーンズメイトも脱ジーンズに大きく舵を切った。ジーンズを減らして女性向け衣料や小物を増やす戦略を打ち出している。新業態の「JEM」ではあえてジーンズの割合を極端に低くしており、脱ジーンズを鮮明にしている。

「ジーンズ強化」と「脱ジーンズ」のどちらが正しいのかはまだ分からない。いずれにせよ、待ったなしの状況であることは確かだ。採った戦略に磨きをかけて顧客に強く訴求していくほかないが、遠くない将来に答えは出るだろう。どちらの戦略が正しいのか、いずれの企業が生き残ることができるのか、注目が集まる。

関連記事
なぜサイゼリヤの客離れが止まらないのか
「エース社員が辞める」残念な会社の特徴
ヤマハ発動機が「バイク絶滅」の危機に打つ手
500円→540円の値上げで進む「てんやの客離れ」
スシローと差「くら寿司」一人負けの理由