1000円を切るジーンズの発売が相次いだ2009年

そして00年代に入ると、ファッション産業全体の潮目が変わり始める。98年から2000年にユニクロがフリースブームを巻き起こし、ファッションセンターしまむらが06年に1000店舗を達成するなど、低価格帯の衣料品チェーンが台頭した。その結果、ジーンズにも低価格化の波が訪れた。

なかでも09年は、大きなターニングポイントになった。同年3月にユニクロの姉妹ブランド「GU(ジーユー)」が990円ジーンズを発売し大ヒット。これに続くかたちで同年にイトーヨーカ堂が980円ジーンズ、イオンが880円ジーンズ、ドン・キホーテが690円ジーンズを発売し、価格破壊が巻き起こった。しまむらで全身コーディネートする「しまラー」がブームとなったのもこの年だ。

男性用ボトムスの多様化が進む

こうしたジーンズの低価格化が、ライトオンなどジーンズ量販店を直撃した。量販店が販売するジーンズは割高感が出るようになり、売り上げは低迷していった。

特に09年の価格破壊は各社の業績に大きなダメージを与え、ライトオンは10年8月期の売上高が前期比13.5%減の869億円、マックハウスは10年2月期が13.6%減の489億円、ジーンズメイトは11年2月期が15.0%減の142億円とそれぞれ大きく落ち込んだ。そしてここから大きく盛り返すことはできず、今日に至っている。

若者のジーンズ離れも大きいだろう。ボトムスの多様化でジーンズが選ばれにくくなった。かつては男性用のボトムスといえばジーンズとチノパンくらいしかなかったが、カーゴパンツやショートパンツ、イージーパンツといった非ジーンズが充実するようになり、ジーンズの存在感は低下していった。特にここ十数年は非ジーンズが目覚ましい勢いで進化している。