「何ができなくなっているか」を見極めてサポートする

認知症の疑いがある場合に受診するのは、精神科、神経内科、老年科、もの忘れ外来など。病院によって担当科の名前が異なります。どこに行くべきかわからないときは、地域包括支援センターに問い合わせましょう。内科や整形外科などですでに主治医がいる場合は、そこから紹介してもらうとスムーズにいくケースもあります。

認知症と診断されると、たいてい投薬治療が始まります。自分で薬の管理ができるなら大丈夫ですが、自分で管理ができない状態になっていると、薬を出してもらえないこともあります。飲み忘れを防ぐ「お薬カレンダー」などのツールで管理できることもあるので、適正な対処法を医師や薬剤師と相談しましょう。それでも本人が管理できない場合は、毎日、地域包括支援センターを訪れて飲むなどの工夫をされたケースもあります。早めに受診すると治療の効果も出やすく、薬の管理を自分でできるうちに飲み始めて進行が緩やかになると、その先も自立した暮らしを長く続けられ、親のためにも子供のためにもなります。

認知症と診断されたら、「一人暮らしをさせるのはもうムリ」と思ってしまう人が多いのですが、必ずしもそうではありません。認知症患者でもその人によってできることとできないことが違っていますし、認知症と診断されたあとも、薬を飲んで進行を抑えながら一人暮らしを継続している人はたくさんいます。

ただ、病気の進行が緩やかになっても、親がどのような部分で何ができなくなっているのかを常に見守り察知していく必要はあるでしょう。お金の計算ができなくなるくらいならいいでしょうが、火の始末ができなくなると、近隣に火事の被害を出す恐れもありますから、認知症によって「何ができなくなっているか」を見極めてサポートする、あるいは改善方法を探すことが必要です。

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(構成=生島典子)
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