香港の若者たちは自らの行動に注意すべきだ
毎日社説は続ける。
「香港と隣接した広東省深センには武装警察部隊が集結している。中国軍が介入すれば、世界から厳しい批判を浴びることになるだろう」
「香港駐留部隊以外の軍が境界を越えられるのは戦争か国家の安全が脅かされるような緊急事態の場合に限られるはずだ。正体不明の集団がデモ参加者を襲う事件が起き、デモ隊の一部が過激化するなど混乱は拡大しているが、非常事態とは程遠い」
毎日社説は「非常事態とは程遠い」と指摘するが、「武装警察部隊の集結」「正体不明の集団」など、やはり天安門事件の悲劇を思い浮かべてしまう。
中国の民主化を求める大勢の若者が、軍隊によって殺される惨事だけは避けたい。香港の若者は天安門事件を直接は知らないだろうが、中国政府の恐ろしさはいまも変わっていない。いや習近平政権の冷徹さは、あのとき以上かもしれない。香港の若者たちは、十分自らの行動に注意してほしい。
中国嫌いの産経は「中国の恫喝は火に油注ぐ」と警告
毎日社説が掲載される9日前の8月8日付で、産経新聞が「香港デモ2カ月 中国の恫喝は火に油注ぐ」との見出しを掲げ、中国政府を批判する社説(主張)を展開している。
まず、産経社説は「1997年の香港返還以後、これほど幅広い市民が高度自治の侵害に激しい怒りをぶつけたことはなかった」と指摘し、「香港や中国の指導者はこの現実を謙虚に受け止めるべきだ」と訴える。
産経社説は「中国政府の当局者は激化する街頭での抗議活動を『米国の作品』と呼んだ。外国に責任を押しつけようという陰謀論で、情勢に注視する内外の目を欺けると考えたのなら浅はかである。」とまで言い切る。
「陰謀論」「内外の目を欺ける」など手厳しい表現は、中国嫌いな産経社説らしい。