8月9日に長崎市の田上富久市長が訴えたこと

日本人の多くは、韓国よりこの国のほうが言論・表現の自由はあると錯覚している。だが、日韓関係が悪化する中で、「韓国人の痛みもわかってやれ」「輸入規制はするべきではない」と大声で叫べる日本人が何人いるだろうか。

韓国では、伝えられるところによると、日本製品の不買運動といった反日を煽る人たちがいるのに対して、それに反対する動きもかなりあるという。

そうした中で起きた、今回の不自由展の中止"事件"は、権力に負けた、脅しに屈したなどという低次元の論争で終わらせてはいけない。

8月9日、長崎市の平和公園で平和祈念式典があり、田上富久市長はこう訴えた。

「日本政府に訴えます。日本は今、核兵器禁止条約に背を向けています。唯一の戦争被爆国の責任として、一刻も早く核兵器禁止条約に署名、批准してください。そのためにも朝鮮半島非核化の動きを捉え、『核の傘』ではなく、『非核の傘』となる北東アジア非核兵器地帯の検討を始めてください。そして何よりも『戦争をしない』という決意を込めた日本国憲法の平和の理念の堅持と、それを世界に広げるリーダーシップを発揮することを求めます」

当たり前のことを当たり前にいえる国にする。そんなことをいわなくてはいけないほど、この国の言論・表現の自由は傷んでいる。(文中敬称略)

(写真=時事通信フォト)
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