利用者は「流行好きな若い女性」ではなかった

メチャカリのベーシックプランは、月額5800円(税別)で3アイテムを借りられる。3アイテムの枠内であれば、何度借り換えてもいい(返却手数料1回380円)。ストライプの主要ブランドの価格帯は4000~7000円前後なので、1~2着を買う料金で3着以上のアイテムを着ることができる。スポーツブランド「プーマ」など他社製品も多く展開しており、いろいろな洋服を着てみたいヘビーユーザーには、魅力的なサービスだ。

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メチャカリのアイテム一覧。新作商品には「NEW」の表示が出る

澤田氏が当初想定していたターゲットも、「洋服大好きな若い子たち」だった。一般的に若い層ほどファッションに関心が高い一方、経済的には余裕がない。ファッションを安く楽しむことができるサブスクは、その層にとって垂涎のサービスであるはずだ。しかし、実際にサービスを始めると、中心になっていたのは想定外の層だった。

「データを取ると、過去に店舗やECサイトで私たちのブランドを購入した経験のある人は3割しかいませんでした。7割はメチャカリ独自のお客様で、中心は20~30代前半の働く女性やママさん。メチャカリで初めて私たちのブランドを着たという方も多いです」

働く女性やママさんは仕事や子育てに忙しく、ファッションの優先順位は必ずしも高くない。なぜ借り換えるほどお得になるサブスクを利用するのか。澤田氏の分析はこうだ。

「メチャカリはアプリで簡単に借りられて、返却時のクリーニングも不要。衣替えをして、冬のコートを保管しておく必要もありません。その手軽さが、忙しくて洋服選びやメンテナンスに時間をかけられないお客様の生活にフィットしたのでしょう。サブスクのコスト面より、手間がかからないというベネフィットが注目されたようです」

試着感覚で借り、気に入れば買い取れる

働く女性やママも、洋服に興味がないわけではない。おしゃれはしたいが、他に優先すべきことがあるから後回しになっているだけだ。本当は洋服好きであることは、買い取りサービスの利用者がいることからもうかがえる。

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メチャカリには、借りたアイテムを返却せずに60日間がたつと、そのアイテムをそのままもらえる仕組みがある。それに加えて、2016年8月、借りたアイテムを気に入れば60日待たずとも割引価格で買い取りできるサービスも始めた。割引率は登録しているプランによって異なるが、「ベーシックプラン」(月額5800円)の場合は表示価格より5%オフとなる。

「60日経てば追加料金を払うことなくもらえるのだから、わざわざお金を払って買い取りするニーズはないと考えていました。しかし、お客様の声を参考にして買い取りの仕組みを導入したら、利用される方が想定以上にいらっしゃった」

このことから読み取れるのは、試着代わりのサブスク利用だ。洋服好きの人は、実物を試着してチョイスしたいと考える。しかし、忙しくて店舗に足を運ぶ暇はない。そこでサブスクを使って自宅で試着して、気に入ったものを買うという使い方が現れ始めたのだ。