「評判」があればお金はついてくる
このように「幸福の資本」が1つでもあれば(そこそこ)幸せにはなれる。では、2つ持っている場合はどうか。一流企業で働いていて、恋人や友だちともわいわい楽しんでいるタイプはリアル(現実)も充実していることから「リア充」と呼ばれる。一方でバリバリ働いてお金は貯まったものの、恋人もいないし友だちも少ないのは「ソロリッチ」だ。
もっとも充実しているのは、「金融資本(お金)」「人的資本(仕事)」「社会資本(愛情・友情)」の3つがそろった人生だろう。だとしたら、すべてを手にするにはどうすればいいのか。
貯金がないとしたら、働いて少しずつ貯めていくしかない。つまり、金融資本は人的資本からしか生まれない。一方で社会資本は、人的資本とは関係ないように見える。給料が高い方が女の子にモテそうだが、仕事が忙しくてデートの約束を断ってばかりだと振られてしまう。
しかし最近になって、社会資本は恋人や友だちなどのベタな人間関係から「評判」に移りつつある。インターネットやSNSで良い評判も悪い評判もすぐに拡散・共有され、「いいね!」やフォロワー数で見える化されるようになったからだ。
社会資本を数値化したものが「評判資本」だ。愛情や友情はプライスレスだが、評判にはプライスをつけられる。よい評判をたくさん持っているレストランには客が集まり、利益も増える。評判をマネタイズするのが「評判経済」だ。
与える人になれ!
人的資本から金融資本がつくられるのと同様に、大きな社会資本からたくさんのよい評判を獲得すれば、それが仕事=人的資本につながっていく。
「どの会社に所属しているか」で個人を評価してきたのは、一人ひとりの評判を正確に知る方法がなかったからだ。誰が信用できるかわからなければ、「なにかあったら一流企業が保証する」方が有利になるのは当然だ。
ところがいまは、インターネットで検索するだけで個人ごとにどんな仕事が得意で、どんな評判を持っているのかがすぐにわかってしまう。逆にいえば、これからの時代は一人ひとりが自分の評判を持っていないと誰からも声をかけてもらえない。
評判を獲得するにはネットワークを広げていかなくてはならない。そのために大事なのは「テイカー」(Taker)ではなく「ギバー」(Giver)になること。テイカーは「受け取る人」で、ギバーは「与える人」だ。