帰化したインド人が江戸川区議に当選

室橋裕和『日本の異国: 在日外国人の知られざる日常』(晶文社)

最後にどうしても気になっていたことを、失礼ながら聞いてみた。どうしてそんなに長々とひげを伸ばしているのですか……?

「これね。なぜかは知らないけれど、うちの一家は代々、長男はひげを伸ばし続けて一度も剃ってはならないって家訓があるの。まあ自然と抜けていくからこのくらいでおさまるんだけど」

それならお子さんもやっぱり立派なひげなんでしょうか?

「うちは娘だから」

在日インド人の父はそう言って、チャーミングに笑うのだった。

追記:2019年4月、江戸川区のインド人社会に大きなニュースがあった。西葛西に15年ほど暮らし、日本に帰化して被選挙権を持つ、よぎ(プラニク・ヨゲンドラ)さんが区議会議員選挙に立ったのだ。「地域と外国人コミュニティとの架け橋に」を合言葉に選挙戦を戦い、定数44のところ5位で当選する快挙を成し遂げた。江戸川区政にどんな変化が現れてくるだろうか。
室橋 裕和(むろはし・よしかず)
ライター・編集者
1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発日本語情報誌『Gダイアリー』『アジアの雑誌』デスクを務め、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。おもな著書は『海外暮らし最強ナビ・アジア編』(辰巳出版)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)など。
(撮影=室橋裕和)
関連記事
インド人富豪が日本企業を毛嫌いする理由
イタリア人が日本で必ずイタ飯を食べる訳
外国人の質問「神社と寺の違いは」神回答
中国人が日本でワクチンを大量接種する訳
丸山ゴンザレス"スラムが実は安全な理由"