「星4つ以上」だけのセレクトショップ

良質なセレクトショップと言えば、2017年9月にニューヨークでオープンした「Amazon 4-star(アマゾン・フォー・スター)」は、その究極。Amazon.comでレビューが「星4つ」以上の商品をはじめ、人気商品ばかりを集めた店舗です。デジタルデバイス、家電、キッチン用品、玩具、書籍、ゲームなど、アイテムはさまざま。電子値札には、通常価格とプライム会員価格の両方が表示されています。

カリフォルニア州にあるAmazon 4-starのBerkeley店。

Amazon 4-starもAmazon Booksと同じく、Amazon.comで収集したデータに基づいてニューヨーク地域での売れ線や「Hot Right Now(目下人気急上昇中)」といった棚を作って展開しています。利用者は、自分があまりくわしくない分野の商品を購入する必要があるとき、とりあえずAmazon 4-starに行けば、いちいちネットなどで評判を調べずとも、最短で「間違いない商品」にたどりつけます。ミーハーといえばミーハーですが、とても「使える」店なのはたしか。不人気商品をつかまされる心配がないという安心感は、何物にも代えがたい優位性ではないでしょうか。

(左)Amazon 4-starの店内。(右)電子値札。Amazonプライム会員は安く買える。

オンラインの成長には、オフラインの力が必要

急ぎ足でAmazonのリアル店舗3業態を紹介しましたが、オンラインで圧倒的なトップに君臨しているAmazonがこのようなリアル店舗を出店する理由は、オフラインの買い物データをオンラインのマーケティングにも生かしたいからにほかなりません。Amazon Goでは、入店・決済用の専用アプリがAmazonアカウントと紐付いていますし、Amazon 4-starとAmazon BooksはAmazonプライム会員を優遇することで、積極的にアカウントと連動させようとしています。

オフラインたるリアル店舗が「オンラインショッピングサイトの脅威にどう対抗するか」という発想は、過去のものとなりました。今やオンラインはオフラインの力を借りなければさらなる発展はなく、オフラインはオンラインのデータやITなくして生き残ることはできないのです。

(構成=稲田豊史 写真=早川淳二)
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